あなたの話を聞いた。
つきあう女性と長く続かない人なのだと。
容姿、性格、家柄。どれをとっても一流の人。
寄ってくる女性は後を絶たない。
その誰とも長く続かない。誰もが離れていく。
覚えたものは驚きと痛みと
「心に決めた人がいる人の恋人なんて、虚しいだけ」
衝撃。
あなたの穏やかな目が見つめる人。
あなたの優しい声が愛を語る人。
思うだけで苦しい。息ができない。
誰を見ているのだろう。誰に愛を語るのだろう。
恋人であった女性にではない、真実の愛を誰に。
兄と呼んでほしいと微笑んだあなた。
兄と。
私は妹なのだ、あなたの。
あなたは私に妹であれと、そうあってくれと言ったのだ。
こんなに苦しいのに!!
「どうして」
――これでは忘れた意味がない。
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