あなたといるとふわりと温かな気持ちになる。
あなたといるとツキリと胸が痛くなる。
それは今だからこそだろうか。
記憶を失う以前からだったのだろうか。


次期皇帝だと囁かれるあなた。
だから初めて会った時、そういう態度で接した。
その瞬間、あなたの顔から血の気が引いて、泣き出しそうに歪んだ。
瞬きの間に柔らかい微笑みに変わっていたけれど、
それは見間違いではないと心が叫んだ。


傷つけた。


この時以降、あなたの傷ついた顔を見たことはない。
いつでも穏やかに、いつでも優しく。
そう接してくれることに不満などない、あるはずがない。
けれど心は叫ぶ。
責めてほしかった。取り乱してほしかった。
………何故?





傷つけたと知った瞬間、確かに感じた感情が喜びだったなんて。





あなたに感じる温かな気持ち、あなたに感じる胸の痛み。
それと関係があるのだろうか。この醜い感情は。
以前からそうだったのか、誰かに聞くこともできないこの感情は。

私が記憶を失うことで捨てたものなのか。
私が記憶を失ってから得たものなのか。


あなたは知っているのでしょうか。



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