ユフィに捕まった。
そうして口を閉ざす私を許さず、今何を思っているのかを白状させられた。


黙っていたかった。
隠していたかった。
だって可笑しいだろう。可笑しい。


夢の中の私は苦しんでいた。あなたへの叶わぬ恋に。
あなたは私の兄で。私はあなたの妹で。
それ以上には決してなれないのに、と泣いたのだ。


だから忘れたのだ。全部全部忘れたのだ。


なのにまた恋をした。
初めて会った時には恋をしていた。
違う。そうじゃない。
結局忘れられなかったのだ。あなたへの恋心だけは残ったのだ。
だから傷ついたあなたを悦んだのだ。


ユフィは微笑む。綺麗に綺麗に微笑む。


「辛い?」
辛い。
「苦しい?」
苦しい。
「忘れたい?」
…分からない。


一度忘れようとした想いは消えず、記憶のないまま未だ恋をしている。
ならばまた忘れたとしても無意味だ。きっと想いだけはまた残る。


「お兄様にもう会いたくない?」
…会いたくない、けど会いたい。
「どうして?」
だって兄様にとって私は妹だろう?
「お兄様がそう言ったの?」
初めて会った時に。


ユフィがそう、と天井を見て、そしてまた微笑んだ。


「ねえ、ルルーシュ。お兄様、今は恋人がいらっしゃらないのよ」
好きな人がいるから?
「好きな人?」
聞いた。だから振られるんだって。
「そう。でもね、ルルーシュ。お兄様の休日って全部ルルーシュに使われてるのよ?」


あなたは忙しい人だ。与えられる休日も仕事に邪魔されることもある。
だからあなたにとっての休日は酷く貴重なものだと聞いた。
その休日を全て私に使っているなんて思ってもみなかった。
ユフィは続ける。


「お兄様はルルーシュにいつだって触れていらっしゃったのよ?
髪に頬に手に。いつだってルルーシュを慈しむように、守るように触れていらっしゃったのよ?
なのに今のお兄様は手を引っ込められるの。手を伸ばすことを怖がっていらっしゃるの」


どうしてかしらね?
そう笑うユフィに首を傾げる。

「ねえ、ルルーシュ。まだ何も知らないでしょう?
一度逃げて、それでも逃げられなかったんだもの。前に進みましょう?」


私がいるわ。一緒にいってあげる。
そう言ってユフィが私の両手を握って、もう一人で泣かなくていいの、と綺麗に綺麗に笑った。



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