友達から知る彼の知らない顔。


「初めまして、ラクス様。今回、護衛を任されましたラスティ・マッケンジーです」

敬礼する赤服を纏う彼に一礼。
「ラクス・クラインですわ。今回はよろしくお願いいたしますわ」
今日は慰労のためにミネルバに行くことになってるから、久しぶりにアスランに会える。
その気分のままにっこりと笑顔。それに笑みが返された。
「アスランもきっとラクス様をお待ちしてますよ」
「そうだとよろしいのですけれど」
「大丈夫です。くれぐれもよろしく頼むとくどいほど言われましたから」
今頃、どきどきはらはらしながら待ってますよ。なんて言われたら、嘘でも嬉しい…って、え?
「あの、失礼ですけれど」
あ、ダメ。ラクス様なら知ってることかもしれないわ。あなた、アスランの知り合いなの、なんて聞けない。
だからすぐに何でもありませんわ、と笑って誤魔化したけれど、大丈夫ですと小声で。

「知っています」

「え?」
「アスランとはアカデミーの頃からの友人なんです。 ラクス様とはお会いしたことはありませんでしたから、ご存知なくても仕方ありませんよ」
「そ、うですか」
え、え、ちょっと待って。どういう意味?さっきの知ってるって何?
思わずまじまじとラスティさんを見てしまう。そうしたらラスティさんがぷっと吹き出した。
「え、ラスティ、様?」
「も、申し訳ありません。アスランの言った通りの方だと思って」
「アスランが?」
ええ、とラスティさんは咳払いして、にっこりと笑った。


「目が口ほどに物を言う子」


「は?」
「ミーア・キャンベルって子は、そういう子だって言ってたんです」




* * *




「アスランのばかあ!初めに教えといてよ!あたし、もう心臓止まるかと思ったんだからあ!!」
「ミ、ミーア。何、苦し…」
襟首を掴んでがくがく揺らして文句を言う。だって本当にびっくりしたのよ?
ラスティさんにあたしのこと教えてるんなら教えてるって言っといてよ!そう思ったって間違いじゃないでしょ!?
「あーあーあー、ミーアちゃん。そろそろ放してやって?アスラン死にそう」
「え?きゃああ!!ごめんなさい、アスラン!!」
真っ白な顔してるアスランから手を放すと、アスランがよろめいた。それをラスティさんが支えて笑った。
「ごめんね?アスラン。大丈夫?」
顔を覗き込めば、大丈夫だと微笑みが返る。そしてラスティさんの手から離れると、こて、って首を傾げた。
「で、何を怒ってるんだ?」
「あ!そう!それよ!」
今度は詰め寄るだけで、手は伸ばさない。アスランはちょっと背を反らせた。
ラスティさんは楽しそうにこっち見てる。そのラスティさんをびしっと指差す。

「あたしのこと、ラスティさんに言ってたんでしょ!?」
「ああ。ラスティなら大丈夫だ」
「そうじゃなくて!」
っていうか、そんなアスランにさらっと言ってもらえるほど信頼されてるって、何!?ずるい!ずるいわ!
「あたし、必死にラクス様してたの!ラスティさんが知ってるなんて知らなかったから、 アスランの友達だなんて知らなくて。ラクス様なら知ってるかもしれない質問、しそうになっちゃって!」
慌てたのにーーー!!!って叫んだら、アスランがきょとんとした顔をした。

「言ってなかったか?」

こ、この人。何で仕事とかはちゃんとするのに、こう、プライベートになるとどっか抜けてるのかしら。
思わず肩を落とすと、ラスティさんが笑ってアスランの頭をぽんぽんっと叩いた。
アスランにそんなことする人、初めて見たわ。
「ごめんな、ミーアちゃん。こいつに悪気ないから」
「うん…それは分かってるからいいんですけど」
じとっとアスランを見てしまうのは仕方がない。
アスランはちょっと焦ったようにあたしとラスティさんを見て、すまないと呟いた。その様子が可愛かった。
ラスティさんがアスランさんを見て、あたしを見た。

「可愛いっしょ?」

思わず頷いた。




ラスティさんが、後はアスランにって部屋を出て行ってから、あたしはあたしの知らないアスランについて聞こうと思った。
だってラスティさんと話してるアスランって、全然知らない人なんだもの。
アスランとラスティさんを見てたら、アスランの昔のことが気になって。だからまず初めははラスティさんについて。
あんまりにも性格が違いすぎる友達だから、どんな風に出会ったのかとか、友達になったのかって気になるのは当然でしょ?

そうやって聞いていくと、あたしの知らないことってたくさんあって。
アスランが軍人になったのは、プラントが大変な時で。凄く凄く辛かった時で。 それをラスティさんや他の仲間と頑張って頑張って。そして乗り越えてきていて。
その頃のあたしは、夢に向かって一生懸命だった。ラクス様と同じ声だからって、オーディションも全然受からなくて。 小さな舞台で歌ってた。歌って、やっぱりオーディション受けて。落ちても歌って。
そんなあたしとアスランの道は、本当なら交わることはなかった。なのに今、こうして出会って、お話して。それって凄い奇跡ね。

そう思って笑ったら、アスランがどうした?って首を傾げた。
それに何でもないわって、隣に座るアスランの肩にもたれる。

「ねえ、アスラン」
「何だ?」
「今度はミーアのお話、聞いてね?」

そう言ったら、アスランが目を丸くした。
それにこっちまで驚いて、なあに?って聞いたら、いやって顔を逸らされた。
そして一言。

「聞いていいのか?」

ああ。ああ、そうね。あたしはミーア・キャンベルを全部捨ててきたんですもの。 聞いちゃダメなことかもって思ってたのね?そう思ったら、本当愛おしい人だって思った。
だってその顔は、まるで聞きたかったけど聞かないようにしてたって言ってるようなものなんですもの。

「たくさん聞いて?ミーアのこと」
「…ああ。聞きたい」

その言葉に笑って、ぎゅうって抱きついて。
ラスティさんが時間だって呼びにきてくれるまで、ずっとそのままでいた。

end

リクエスト「アスミアでアスの親友はラスティ設定」でした。
ラスティとミーアが大騒ぎするとアスランが置いてけぼりになり、ラスティとアスランが大騒ぎするとミーアが置いてけぼりになりました(汗)。
しかもラスアスが目立ちそうになったので、ラスティに退場してもらったら、こんな感じになりました。

リクエスト、ありがとうございました!

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