「説明も何も、この状況で何を説明しろって言うんですか?ラクス様」

アスランの腕から逃れたミーアが、アスランに馬乗りになった状態で体を起こした。両腕はアスランの肩を押しているため、アスランは起き上がれない。戸惑ったようにミーア?と呼んだ。
「アスランはしゃべっちゃだめ」
「は?いや、だが」
「全部ラクス様達が起こした行動の結果じゃないですか。なのにアスランに何を説明しろって言うの」
ミーアはアスランに向けた目とは全く違う睨みつけるような目でラクスを見る。それにラクスが眉を寄せた。
「あなたのことも含めた全てです。あなたはデュランダル議長に騙されたのだと泣いていらっしゃいましたが、あれは嘘だったのですか」
「ええ。その方が信じてくださりやすくなるでしょう?」
「お前!」
ミーアに押し倒されているアスランを見て眉を寄せていたカガリが、ミーアの笑顔にカッとしたように声を荒らげた。
「私達はお前を信じたんだ!お前が議長に騙されてラクスの振りをさせられてたんだって!だから匿ってくれというお前を信じて私達は…!」
「あら、議長に言われたことは本当よ?あたし、本当に議長にそう言われたんだもの。訳あってラクス様がプラントにいらっしゃらないから、帰ってこられるまでラクス様になってくれって」
知らなかったのはラクスがオーブにいること。アスランとの婚約が破棄されていること。その原因がラクスにあったこと。そしてラクスがプラントに住むコーディネーターが憎む核を使ったフリーダムの修復に関わっていたこと。
「あなた達を騙したあたしが悪くないなんて言わないわ。でもそうしなきゃあなた達を止められなかったんだもの。核をまた戦場に持ち出したあなた達を止められなかった」
「違う!」
キラが叫ぶ。
「違うんだ!僕らは核を武器にするために使ってるんじゃない!平和を守るのに必要だから、だから!」
「同じことでしょう?フリーダムが核を積んでることに代わりないわ。フリーダムに積んだ核が爆発したら?海に落ちたら?ねえ、核に撃たれたユニウス・セブンがどうなったか知ってるでしょう?」
核に汚染されて遺体をプラントに戻すことができなかった。葬ってあげることもできず、ユニウス・セブンの中でずっと漂っていた。
「キラは負けない!」
「凄い根拠ね。でも負けたじゃない。ここにこうしてるのがその証拠でしょう?」
「それはお前が…!!」
「ミーアさん」
カガリを落ち着かせるようにカガリの肩に手を置いたラクスが、ミーアをじっと見た。
何もかも見透かしたような目だ、とミーアは思う。けれど逸らしそうになった目に力を入れて、ラクスを見返す。

「わたくし達をザフトや地球連合軍が邪魔に思っていらっしゃることは存じております。ですがミーアさん。このままでいいとお思いですか?このままでは世界は再び大火に見舞われることになります。そうさせないためにわたくし達は行動しているのです。よくお考え下さい。本当にデュランダル議長は信じるに値する方ですか?」

ミーアが眉を寄せた。スティングとアウルも顔を見合わせた。
けれどラクスの後ろからカガリがそうだ、と声を上げた。、そしてミーアを見る。
「デュランダル議長が本当に戦争を回避しようとしているのなら、もっとできることがあるはずです。なのに彼は軍備を拡大させました。それが大西洋連邦に不安を植えつけた」
「議長が戦争を始めさせたって言うの」
「そうではありません。ですがその原因のひとつではあったと申し上げているのです」
けれどミーアにはそうとしか聞こえなかった。議長が戦争を始めるためのきっかけを作ったのだと。それも議長の企みではないのかと。ラクスがそう言っているのだとしかミーアには聞こえなかった。

なにそれ。
ミーアはそう思った。
なにそれ、なにそれ、なにそれ。
アスランを押さえつける腕に力がこもった。アスランがミーアの手首を掴んで、口を開く、が。


「馬鹿じゃねえの」


嘲るような響きを乗せた声の主はアウルだ。
「議長が軍備拡大させたから大西洋連邦が不安になった?元々あいつらは戦争する気満々だったんだよ」
な?とスティングを見れば、スティングがああ、と頷いた。
「俺達は戦争が終わってからもずっと戦闘訓練受けさせられてたしな」
「そうだとしてもです。議長の動き次第で状況はいくらでも変わったはずです」
「あんたにも言えることだよな。お姫様」
スティングが笑う。
「だよなあ。平和の歌姫とか言いながらさ、やったことって戦艦率いてMSの腕落とすわ足落とすわ、MAの翼落とすわやりたい放題してさ。結構過激だよな」
「それは戦闘を止めるためだ!」
「そうだよ!僕らは戦うために戦場に出てるんじゃない!戦闘を止めるためにやってるんだ!」

「なら我々と何も変わらないな」

え、とキラが声を洩らした。
視線の先にいるのはナタルだ。ステラを抱きしめたまま、こちらをしかと見ている。

「我々は戦争を止めたかった。この子達が戦わずに暮らせる日常がほしかった。だからザフトと手を組んだのだ」
「どういうこと?どうしてザフトと手を組むことが戦争を止めることになるの?」
マリューの弱々しい視線に、ナタルがお分かりになりませんかと目を細めた。
「戦争を始めたのは大西洋連邦です。指示したのはロゴスです。目的は彼らが持つ武器を売り、利益を得るため。ならば戦争を終わらせるためにどうするのが一番だとお考えになられますか?」
ナタルの言葉にAAの誰もが目を見開いた。
ロゴス?武器を売って利益を得る?そのために戦争を始めた?何だそれは。
誰もそんなことは知らなかった。ラクスも知らなかった。そんな情報は誰も掴んではこなかった。

「あなた方はデュランダル議長を疑っておられた。疑うだけの理由があったのでしょう。ですがロゴスのことはご存知なかった?デュランダル議長はご存知でした。それゆえにこのままでは戦争は終わらないと動いていらっしゃいました。あなた方は?目先のことばかりを追いかけていらっしゃったのではないのですか」

ミーアがアスランに抱きついて言った。

「その結果がこれなんだもの。説明するまでもないでしょ?」




だってあなた達はあなた達が言う世界の平和のための行動を邪魔してたんだもの。




end

リクエスト「ネオナタ&連合とアスミアがラブラブでアンチキララクカガ」でした。
…えーと。アスラン、ミーアに押し倒されてるだけです。すいません(汗)
そして他のネオナタよりきついアンチということだったんですが…どうなんだろう。

リクエスト、ありがとうございました!

最後に、幸せハッピーエンドだと思われた方はここから下は見えないことにしてください(え)


分かりにくいかもしれませんが、ベルリンの後です。何故かアウルとステラが生きてますが、ベルリンの後です。ナタル人質に取られてやりました。いや、それですまされる問題でもないので、多分この後の連合組は大変なんじゃないかなあと思ったり(滝汗)

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