舞台裏




拾ったシャトルにはメイリン・ホークと名乗る少女が、腕にラクス・クラインによく似た少女と赤いハロを抱いて乗っていた。
泣いて泣いて泣いて、そうして聞こえてくる声はアスランさん、だった。




「AAは機関部にでかいの打ち込まれて、そっから誘導されて大破、クルーは全滅。ってか跡形もない。
エターナルはどうやら中からだな。MSのシステムいじられたみたいで、それが中で暴れまわった挙句、格納庫だからな。
危険物に引火して爆発」
ディアッカの報告にイザークが顔をしかめたまま、執務机に頬杖をついている。
それを気にすることなくディアッカは、で、と続ける。
「シホ」
「はい」
ディアッカに促され、シホが報告を受け継ぐ。

「メイリン・ホークの証言によりますと、それらを為したのはアスラン・ザラだということです」

イザークの目がシホに向けられる。
「アスラン・ザラはメイリン・ホークにミーア・キャンベル、プラントでラクス・クラインを演じていた彼女を託し、シャトルに乗せました。
メイリン・ホークはシャトルを戻そうとしたようですが、アスラン・ザラが為したであろうロックに手間取っている間に
AAがエターナルの主砲に撃たれ、立て続けに攻撃が加えられるのを見たそうです。その数分後にエターナルが内部爆発したのだと」
イザークが体を起こし、何故そんなことになったとシホに尋ねる。それにはい、とシホが頷く。
「メイリン・ホークもはっきりとは分からないとのことでしたが、その引き金となったものは、エターナルのクルー達が
ラクス・クラインが傷ついたのはミーア・キャンベルのせいだと、彼女の遺体に危害を加えようとした件だろうとのことです」
「どういうことだ」
「ミーア・キャンベルはラクス・クラインを庇い命を落としたということですが、その後にアスラン・ザラが
ラクス・クラインに忠告をしています」
「忠告?」
「はい。ラクス・クラインの言葉は強い武器なのだと。武器は守り傷つけそして殺すのだと、そう言ったそうです」
ああ、と言った感じでイザークが頷く。
今更だ。それは分かりきったことだが、わざわざアスランが言ったということは、それをラクス本人が自覚していなかったのだろう。
ならばアスランの忠告は遅すぎる。もっと早く気づかせるべきだろう。
「その忠告にラクス・クラインは傷ついたようです」
「それを知ったエターナルクルーが、って?」
呆れたようなディアッカに、シホがそのようですと頷く。
「その場に居合わせたメイリン・ホークにより未遂に終わったようですが、その際に彼女自身怪我を負わされ、
アスラン・ザラはそれに酷く責任を感じていたようです」

それ以降、アスランは自室から出ることが少なくなり、そしてまたメイリンを一人にすることもなくなった。
そうしてある日、珍しく外に出ていたアスランに突然腕を引かれて連れて行かれた先が格納庫。
そこはすでに血の海だったという。

「血の海、だと?」
「まさかアスラン、が?」

もうキラもカガリもラクスもいない。ごめん、もう限界だったんだ。もう他に守る方法が思いつかなかったんだ。
それがアスランの最後の言葉になった。その後、メイリンをシャトルに押し込んで無理やり発射させた。

「まて。あいつがキラ・ヤマト達を殺しただと?」
キラ、カガリ、ラクス。どれもアスランが大切にしている者達だ。なのにどうしてだ、と言うイザークに、
シホがメイリンが連れていた赤いハロの分析が終われば明らかになるやもしれませんと返す。
それにああ、と思い出したようにイザークが頷いた。
メイリンはアスランからイザークにハロを見せるようにと、言伝を託されていた。
そこに何が隠されているのかはまだ分からない。
「そこに記されてるといいんだけどな」
「分かったところで今更どうにもならんがな」
全てはもう終わってしまった。残されたのは事後処理だけだ。
そしてその役目は偶然メイリンのシャトルを拾ったイザーク達がすることになるだろう。
いや、偶然ではない。現にイザークにと言伝があったのだ。アスランが狙ったとしか考えられない。
「どうせ狙うならさ、こんなことする前に頼ってくれりゃいいと思わねえ?」
「それも今更だろうが」
「そうなんだけどさ。こんな頼られ方は嬉しくねえじゃん」
メイリンがいなければ、アスランはきっと何も残さなかった。
だがメイリンがいた。だからアスランはイザーク達を頼ったのだ。メイリンを助けてくれと。
アスランと一緒に脱走したというメイリン。
その真相を知ろうとし、そうして助けてくれる相手は他にはいないからと。そのためにアスランはハロに何かを託したのだ。


「馬鹿だからな」


イザークはそう言って目を伏せた。


end

リクエスト「壊れアスでラクスの目の前でキラやカガリなどAA・エターナルクルーを殺していく」でした。
開幕が長すぎなんで切ってたら、思ったより話数が長くなりました。

イザディアはアスランの中で、もう無条件に信じられる相手だと思います。
だから厄介事でも何でも押し付けられる。悪いかな、大変だよなと思いながらもよろしくと言える、そんな相手だと思ってます。
ちなみにハロにはアスランの伝言が託されてます。
メイリンは巻き込まれただけで、とか助けてもらったとか。ごめん後はよろしくとか。
一応、何でこんなことをするのかの説明も簡単に入ってます。

リクエスト、ありがとうございました。

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