やくそく

夢を、見たの。こわいこわい夢。
いやって叫んでも、やめてって叫んでも私はやめないの。
私は日本人を殺して殺して殺して。
そんなことしたくないのに、しちゃいけないのに、いやなのに。

「怖い夢だったね、ユフィ」

うん。怖かったの。

「でも大丈夫。俺がその怖い夢、持っていくよ」

だめよ。それはだめ。
そんなことしたら、ルルーシュが怖い思いするじゃない。だめ。

「ユフィも怖いだろう?俺は大丈夫」

だめ。

「強情だな」

それはルルーシュでしょう?
あのね、ルルーシュ。ならこうしない?

「何だ?」

側にいて。こうしてて。たくさんお話して、たくさん笑って。
そうしたら怖い夢、吹き飛んじゃうから。

「…そうだね」

どうしたの?どこか苦しいの?ルルーシュ。

「いいや。ナナリーも一緒でいいかな?君に会いたがってる」

もちろんよ!私も会いたいわ。

「うん。じゃあ三人でまた星を見よう。怖い夢を見ても、三人一緒なら大丈夫かな?」

ええ。約束よ?

「ああ、約束だ…ユフィ?」

………う、ん。

「どうした?ユフィ」

何だか…眠いの。どうしてかしら。もっとお話したいのに。

「はは。いいよ、寝ても」

でも、また会えなくなるでしょう?

「どうして?約束したばかりじゃないか」

本当?

「ああ。ユフィが目を覚ますたびに俺はいるよ。あ、でもナナリー迎えに言ってる間はいないからな?」

くすくす。分かってるわ。ルルーシュの一番はナナリーだもの。

「ユフィのことも好きだよ」

私もルルーシュのこと、大好きよ。
………ぁ、だめ。ねむ、い。

「ああ。ゆっくりお休み。その間にナナリーを迎えにいってくるよ」

たのしみ。気を、つけてね、ルルーシュ。

「ああ」

おやすみなさい。

「おやすみ、ユフィ」

白いドレスが赤に染まり、白い腕は血に染まっている。
きれいにきれいに笑う妹は、うっすらと微笑んだままもう動かない。

「…っ、ユ、フィ」

ごめん、なんて言えない。言う資格などないくらい酷いことをさせた。
たとえ故意じゃないとしても、確かにルルーシュがさせたのだ。ユーフェミアを血で染めた。ユーフェミアに憎悪を巻きつかせた。

強く強く抱きしめて、そうして赤く染まった目からは涙が止まらず流れ落ちる。
そっと腕を緩めて、側に置いた銃を手に取る。
ぼーっとその銃を見つめる。これでユーフェミアを撃った。ルルーシュと微笑んで呼ぶ妹を、撃った。

腕が動く。それはそのまま己のこめかみへと当てられる。
そして片腕に抱くユーフェミアを見下ろして、笑う。

「やっぱりナナリーは一緒には連れてこれないな。でも俺だけでも一緒にいるから。それで許してくれないか」

やめて!!

ユーフェミアの叫びが聞こえた気がしたけれど、ルルーシュはそのまま引き金を引いた。

end

リクエスト「23話でユフィを殺した後ルルも自殺する話」 でした。
ルルーシュは初めからナナリーは連れていくつもりはありませんでした。
ただ笑って一緒にいた子供の頃をユフィが望んでいるのを知っていたから、せめて安らかに眠れるようにとそう言っただけで。

リクエストありがとうございました!

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