「レイ!」
「レイ!!」

レイの姿を認めるなり、シンとルナマリアが走ってきた勢いそのままに抱きついた。
一人ならなんとか抱きとめられただろうに、二人同時にはさすがに無理らしく、床に倒れた。
頭は打たずに済んだが、背中が痛い。
思わず呻いたレイを二人はまったく気にせず、満面の笑みで顔をあげた。

「「おかえり!!」」

「…た、だいま」

涙が、溢れそうになった。

「アスラン」
「レイ。どうした?」
笑って振り向くアスランの肩に、こと、と頭を乗せる。
そうするとすぐに頭を撫でてくれる。それに安心して、抱きつく。
「シンとルナが」
「うん?」
「おかえり、と。俺はあいつらを利用していたのに。裏切って、逝こうとしたのに」
「レイ」
「嬉しかった」
「ああ」
「嬉しかったんです」
「よかったな」
「はい」
笑って、ふと気づく。
「アスラン、その服は?」
ザフトの軍服は使い物にならなくなったと聞いていた。だから、オーブの軍服を着ているのだと。
なのに今着ているものは私服。
アスランは笑う。


「艦を降りようと思って」


「え」
「ばたばたしている今しかないからな。キラたちも、今なら気づかない」
ぎゅっと、アスランの服をつかむ。

いってしまう。
アスランもいってしまう?

不安に揺れるレイに、アスランがどうする?と首を傾げる。
「え?」
「俺は、良くも悪くもプラントを騒がすからな。
軍事裁判にかけられるのが本当なんだが、オーブが介入してくる恐れがあるから」
たしかに。
結果がどうなろうと、アスランがプラントにいる。それ自体を不服として邪魔をしてくる者がオーブには多い。
オーブ代表。プラントの歌姫。フリーダムのパイロット。そして、それぞれの旗艦。乗り込んでくるのは、きっとフリーダム。
オーブの花嫁強奪の件がいい例だ。アスランのために、という大義名分を持ってやってくるだろう。
「だから、行方をくらまそうと思う。レイはどうする?」
くるか?
そう言われて、心が揺れた。
雛の刷り込みのようにアスランに懐いている今の自分。それが離れたくないと言う。
けれど、シンとルナマリアが迷わず駆け寄ってきてくれた。おかえり、と笑ってくれた。
そんな彼らをまた裏切るのか?


しばしの間考え、レイは決めた。

「一緒には、行きません」

アスランが嬉しそうに笑って、頷いた。


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アスラン、お母さん…?

リクエスト「Augurio」続編。とりあえず二話と三話です。
ここでアスランとレイはちょっとの間お別れです。
リクエストありがとうございました!

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